【種別】アプリケーション(デスクトップ仮想化ソフトウェア)
【開発・提供】Parallels(パラレルス、ラネクシー)
【対応プラットフォーム】Mac OS X
【公式サイト】
Created Date: 07/05/29
Modified Date: 10/12/29
Modified Date: 10/12/29

↑「Mac OS X 10.6.4」+「Parallels Desktop 6 for Mac」+「Chromium OS」(クリックで拡大)
【解説】
米Parallels(旧SWsoft)より開発、提供等が行われているMac OS Xベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア(Type 2 ハイパーバイザ)。カーネルモード(特権モード、スーパバイザモード、マスターモード)における各種命令をハードウェアレベルにてハンドリング可能な CPU仮想化支援「Intel VT-x(Intel Virtualization Technology)」をサポートする他、仮想マシンにおいて最大8コア(8way)の「Virtual SMP(Virtual Symmetric Multiprocessing、仮想対称型マルチプロセッシング)」に対応している。また、総じて「Coherence(コヒーレンス)」と称される諸機能、及び「SmartX」テクノロジの実装等により、ホストOS、ゲストOS間におけるシームレスな連携を実現している他、豊富な仮想アプライアンス(Parallels Virtual Appliances Directory)や各種Parallelsラインアップとの互換性等、仮想化ソリューションにおける有力ベンダならではの種々のメリットも特徴の一つとして挙げられる。日本市場においては、ラネクシー(旧プロトン)を通じて2006年11月11日より販売、サポート等が開始されている。
尚、Ver.3.0までを開発したParallels Software Internationalは現存せず、現在のParallelsは「Parallels Virtuozzo Containers」「Parallels Plesk Panel」等を世に送り出したSWsoftが社名を変更した姿である。
「Parallels Workstation 2.1 for Mac OS」~「Parallels Desktop for Mac 2.1」
米国時間2006年4月6日(Apple純正デュアルブート支援ツール「Boot Camp 1.0 Beta」リリースの翌日)付にて最初のBeta版が「Parallels Workstation 2.1 for Mac OS」としてリリースされる。その後、同ビルドを含めて6度のBeta、2度のRelease Candidateを経た後、同年6月15日(米国時間)付にてGA版に相当する「Parallels Desktop for Mac 2.1」がリリースされる事となる。尚、RC 1のタイミングにて「Parallels Workstation for Mac OS」から「Parallels Desktop for Mac」へと名称変更が行われており、最終的にBetaプログラムには75ヶ国から10万人以上のテスタが参加する等、当時から「Intelベース Macintoshが齎す最大の福音」として大きな期待を集めていた。名称変更に際しては「Macらしさを追求するためにWindowsセントリックな「Parallels Workstation」という名称を改め、「Parallels Desktop」を正式名称とする」とのコメントが発せられている。
Parallels Desktop for Mac 2.2(「Beta 1 Build 1862」~「Build 1970」)
米国時間2006年10月11日付にてリリースされたアップデート相当の「Build 1940」では、当時は何れもプレリリースビルドであった「Mac OS X 10.5 Leopard(ホストOS)」「Windows Vista(ゲストOS)」に試験的に対応した他、PAE(Physical Address Extension)モードのフルサポート等を実現。同11月1日には、「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」において、Windows(ゲストOS)のインストールプロセスを自動化すべくした「Windows Express Installation」オプション(インストールメディアを自動検出可能)、及び「Shared Networking(共有ネットワーク)」の実装等を主目的とした「Parallels Desktop for Mac 2.2 Build 1970」がリリースされる事となる。Parallels Desktop for Mac 2.5(「Beta 1 Build 3036」~「Build 3224」)
米国時間2006年12月1日よりテストリリースが開始された当バージョンでは、「Beta 1 Build 3036」において「Boot Camp」パーティションにインストールされたWindowsをゲストOSとして利用可能となった他、コンソールウインドウのリサイズ時に、当該ゲスト OSにおけるスクリーン解像度を動的に自動調整可能とする「Dynamic Resolution」、及びホストOSにおけるウインドウであるかの如くに、ゲストOSにおけるそれらをハンドリング可能とする「Coherence」モード等が新たに実装される事となる。また、Physical Windows PC(実機)、或いはVMware、Microsoft仮想マシン(仮想ディスク)からParallels仮想マシン(仮想ディスク(hdd))にマイグレート(コンバート)可能とするP2V(Physical to Virtual)/V2V(Virtual to Virtual)マイグレーションツール「Parallels Transporter」が同ビルドより同梱されている。その後、約3ヶ月の期間に同ビルドを含めて3度のBeta、3度のRelease Candidateを経た後、米国時間2007年2月27日付にてGA版に相当する「Build 3186」がリリースされる事となる。翌月にはメンテナンスアップデートに相当する「Build 3188」、6月下旬に「Mac OS X 10.4.10」に対する互換性改善等を主目的とした「Build 3214」が各々リリースされた後、同年12月20日(米国時間)付にて「Mac OS X 10.5 Leopard」に対する互換性改善等を主目的とした「Parallels Desktop for Mac 2.5 Build 3224」がリリースされる事となる。
Parallels Desktop 3.0 for Mac(「Build 4124」~「Build 4560」)
「WWDC 2007(Worldwide Developers Conference 2007)」を目前に控えた米国時間2007年5月31日付にて発表されたアップグレード相当の当バージョンは、同6月7日付にてリリースされた「Build 4124」において、ホストOS、ゲストOSを問わずして、任意のファイルに任意の規定アプリケーションを関連付け可能な「Parallels SmartSelect」の実装、「OpenGL」「DirectX」のサポート等によるグラフィックスパフォーマンスの強化(3Dグラフィックスを利用するアプリケーションの一部がゲストOSにおいてネイティブ動作可能に)、及び任意の状態に保存された仮想マシンを任意のタイミングにて復元可能なスナップショットの実装(複数世代のノードを作成可能なマルチスナップショットとして実装され、「Snapshot Manager(スナップショットマネージャ)」を用いたマネジメントに対応)が行われた他、その他の主な特徴として以下の項目等が示されている(主要項目抜粋)。- 仮想ディスク内の各種リソースに対してオフラインアクセス可能な「Parallels Explorer」を同梱(VMware(vmdk)、Microsoft(vhd)仮想ディスクもハンドリング可能)
- 起動中のWindows(ゲストOS)における仮想ディスクを、Mac OS Xデスクトップにネットワークドライブとしてマウント可能に(通称「逆共有フォルダ」)
- 「Shared Folders(共有フォルダ)」、及び総じて「Coherence 2.0」と称されるユーザインターフェイス関連の各種機能強化等を包含
- Linux(ゲストOS)を対象としたゲストOS拡張機能「Parallels Tools(Linux Tools)」を追加
- 隔離性等のセキュリティレベルを制御可能な「Security Options(セキュリティオプション)」を実装
- USBデバイス接続時に、対象オペレーティングシステム(ホストOS、或いはゲストOS)を任意に選択可能な「USB Controller(USBコントローラ)」を実装
- ゲストOSシャットダウン時に、起動時の状態に任意に復元可能な「Undo Disks(ディスクを元に戻す)」を実装(起動時にスナップショットを作成)
Parallels Desktop 3.0 for Mac(「Beta 1 Build 5060」~「Build 5160」)
米国時間2007年8月1日よりテストリリースが開始されたアップデート相当の当ブランチでは、約1ヶ月半の期間に2度のBeta、2度のRelease Candidateを経た後、同9月11日付にてGA版に相当する「Build 5160」がリリースされる事となる。当ブランチでは複数仮想マシン動作時に合計4GB以上のRAM領域を利用可能となった他、単一の仮想マシンに対して割り当て可能な最大RAM容量が1.5GB→2GBに増加される等の仮想化エンジンの向上、及びWindows(ゲストOS)サイドにおけるスペシャルフォルダを、Mac OS X(ホストOS)サイドの対応フォルダに対して各々マッピング可能な「Shared Profile(共有プロファイル)」の実装(ユーザプロファイルの共有を実現)等のユーザエクスペリエンスを追求した更なる機能強化等が行われる事となる。また、その他の主な特徴として以下の項目等が示されている(主要項目抜粋)。- 「Coherence 3.0」。ゲストOS(Windows)ウインドウに対してホストOS(Mac OS X)におけるそれらと同様のドロップシャドウを付加しつつ、「Expose(Exposé)」使用時における各ウインドウがMac OS Xウインドウと同様に個別動作可能に。半透明ウインドウの表示等もサポートした他、最小化したゲストOSウインドウをMac OS X(ホストOS)「Dock」に格納可能に
- 「Recycle Bin(Trash Bin)」の統合。Windows(ゲストOS)からMac OS X(ホストOS)サイドの「Recycle Bin」に各種リソースをドラッグアンドドロップ可能に(Mac OS Xサイドの「ゴミ箱」にドロップされたファイル等は、Windowsサイドの「ごみ箱」に移動)
- 仮想キーボードサポートの改善。Mac OS X(ホストOS)「Dock」内のアプリケーションアイコンにおけるコンテキストメニューを通じて、種々のキーコンビネーションをゲストOSに対して送信可能に(「Ctrl」+「Alt」+「Delete」、「Ctrl」+「Break」等)
- Appleによるスマートフォン「iPhone」をサポート。ゲストOSにおけるWindows版「iTunes」を利用した各種データ同期、ソフトウェアアップデート等に対応
- 「Parallels Transporter 3.0 for GNU/Linux」を用いた、Physical Linux PCからのP2Vマイグレーションに対応
- 仮想ディスクブラウジング時におけるデフォルトアプリケーションとして「Parallels Mounter」を採用(「MacFUSE(Mac Filesystem in Userspace)」を利用)
- 「Parallels Image Tool」において、スナップショットを利用可能な仮想ディスクに対する互換性を実現(Plain(プレーン)→Expanding(拡張)、 Expanding→Plain等、仮想ディスクフォーマットを変換可能等)
Parallels Desktop 3.0 for Mac(「Beta 1 Build 5540」~「Build 5638」)
米国時間2007年10月29日よりテストリリースが開始されたアップデート相当の当ブランチでは、約1ヶ月半の期間に2度のBeta、1度の Release Candidateを経た後、同12月5日付にてGA版に相当する「Build 5582」がリリースされる事となる。当ブランチでは「Mac OS X 10.5 Leopard(ホストOS)」に対する互換性改善(「Spaces」との統合等)、及び「SMBios(System Management BIOS)」、共有ネットワークに対する「Port Forwarding」のサポート等が追加された他、その他の主な特徴として以下の項目等が示されている(主要項目抜粋)。- アンインストール時に「Shared Applications」「Parallels SmartSelect」によるアプリケーションの関連付けを解除すべくした「Remove SmartSelect file associations」オプションを追加
- 仮想マシンに対して最大2台の仮想CD/DVDドライブを割り当て可能に
- 「Parallels Transporter」を通じて、「Boot Camp」パーティションからParallels仮想ディスク(hdd)にマイグレート可能に

↑「Mac OS X 10.5.2」+「Parallels Desktop 3.0 for Mac Build 5584」+「Windows XP Home Edition Service Pack 2」(クリックで拡大)
Parallels Desktop 4.0 for Mac(「Beta 1 Build 2798」~「Build 3848」)
米国時間2008年9月8日よりテストリリース(プライベートベータ)が開始されたアップグレード相当の当バージョンでは、約2ヶ月の期間に2度のBeta、2度のRelease Candidateを経た後、同11月11日付にてGA版に相当する「Build 3522」がリリースされる事となる。当バージョンではSWsoft謹製のハイパーバイザエンジンを搭載し、仮想マシンにおいて最大8コア(8way)の「Virtual SMP」に対応した他、64bitゲストOS(x64)のサポート等が行われる事となる(仮想化エンジン等のベーステクノロジとして「Parallels Server 3.0 for Mac」が採用され、同サーバ仮想化ソフトウェアとの仮想マシンレベルでの互換性が保持されている(「Desktop 3.0」も仮想ディスクレベルでの互換性は保たれている))。また、その他の主な特徴として以下の項目等が示されている(主要項目抜粋)。- 「Mac OS X Server 10.5 Leopard」をゲストOSとしてサポート(Appleサイドのライセンスに配慮して、クライアント版のMac OS XはゲストOSとして利用不可)
- 「Mac OS X 10.6 Snow Leopard(プレリリースビルド)」を試験的にサポート
- 仮想マシンを拡張子「.pvm」が付されたバンドルパッケージにて構成
- 仮想マシンに対して最大8GBのRAM容量、及び最大256MBのVRAM容量を割り当て可能に
- 仮想マシンにおいて最大2TBの仮想ディスク(hdd)を利用可能に
- 仮想マシンにおいて最大16基の仮想ネットワークアダプタを利用可能に
- 「ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)」をフルサポート
- 「Parallels Transporter」を通じて、VirtualBox仮想マシン(仮想ディスク(vdi))をParallels仮想マシン(仮想ディスク(hdd))としてコンバート可能に
- ホストOS(Mac OS X)と物理的な別ディスクに作成された「Boot Camp」パーティションをParallels仮想マシンとして利用可能に
- 「DirectX 9.0」及び「OpenGL 2.0」を試験的にサポート(「DirectX 9.0 Shader Model 2(DirectX Pixel Shaders 2.0)」に試験的に対応)
- ビデオオーバーレイのサポートを追加
- サードパーティベンダへの推進等を主目的としてSDK(Software Development Kit)、Open API等を提供
- 各種のオートメーション等を実現すべくしたスクリプティングサポートを包含
- コマンドラインユーティリティ(コマンドラインツール)「prlctl」をサポート
- ネットワークブート等を利用可能とすべくした「PXE(Preboot Execution Environment)」をサポート
- 仮想マシンテンプレートを作成可能に
- セッション中に加えられた変更の適用、或いはロールバックをゲストOSシャットダウン時に任意に選択可能とする「Safe Mode(セーフモード)」を実装
- 一定のインターバルにてスナップショットを自動作成可能な「SmartGuard」を実装(定期的にスケジューリング可能。「VMware Fusion」における「AutoProtect」に相当)
- 新たな表示モードとして、コンソールウインドウをスケーリング可能な「Modality(モダリティ)」モードを実装(バックグラウンド時にコンソールウインドウを半透明表示可能とし、インプットデバイスのキャプチャの有無を任意にハンドリング可能)
- 任意の範囲のスクリーンショットを撮影可能な「Clips」を実装
- 音声認識をサポート
- 任意の仮想マシンのステータスを「Quick Look」を通じて確認可能に
- 「Coherence」モード利用時に、Windows(ゲストOS)におけるタスクバーアイテムをMac OS X(ホストOS)メニューバーに表示可能に
- Mac OS X(ホストOS)、Windows(ゲストOS)双方に対してリムーバブルメディアを自動マウント可能な「SmartMount」を実装
- 「Shared Internet Applications」の改善。新たにRSSフィード、及びリモートセッションリンク等をハンドリング可能に
- ホストOS、ゲストOS間においてCPUリソースの柔軟な割り当てを行い、各種パフォーマンスの最適化等を実現すべくした「Adaptive Hypervisor」を実装
- CPU使用率やメモリ使用量等、リソース利用の観点における大幅な改善
- キーボードプロファイルの作成、編集等が可能に
- 新たに「Virtual Machine Directory」を導入

↑「Parallels Desktop 4.0 for Mac」における「Virtual SMP」の実装。マルチコアCPUをエミュレートしているため、「Windows XP Home Edition」においても複数の仮想コアを利用可能となっている(クリックで拡大)
尚、「Smart Shared Folders」「SmartGuard」「SmartMount」等の「Smart(スマート)」を冠する各種の機能は、ラインアップに共通で「SmartX」テクノロジと称されている。
その後、同月下旬に種々のバグフィックス、及び機能改善等を主目的とした「Build 3540」、翌2009年1月上旬に「Windows 7(ゲストOS)」「Mac OS X 10.6 Snow Leopard(ホストOS)」(何れもプレリリースビルド)に対する試験的サポート等を主目的とした「Build 3810」(「Build 3810」リリース前には1度のプライベートベータを実施)、5月上旬にWindows(ゲストOS)における3Dグラフィックスサポートの改善(「AutoCAD」「Autodesk 3ds Max」「Autodesk Inventor」に対する互換性改善等)等を主目的とした「Build 3844」、8月下旬に「Mac OS X Server 10.6 Snow Leopard(ゲストOS)」「Ubuntu 9.04(Jaunty Jackalope、ゲストOS)」「Mac OS X 10.6 Snow Leopard(64bit/32bit両カーネル、ホストOS)」のサポート等を主目的とした「Build 3846」が各々リリースされた後、同年10月22日(米国時間)付にて「Windows 7(ゲストOS)」に対する互換性改善等を主目的とした「Parallels Desktop 4.0 for Mac Build 3848」がリリースされる事となる。尚、PDFMのビルド番号は、Ver.4.0より(主となるビルド番号の後に)6ケタのリビジョン番号が付されている。