【名称変遷】「InnoTek VirtualBox」>「Sun xVM VirtualBox」>「Sun VirtualBox」>「Oracle VM VirtualBox」
【種別】アプリケーション(デスクトップ仮想化ソフトウェア)
【開発・提供】Oracle(オラクル)
【対応プラットフォーム】Mac OS X/Windows/Linux/Solaris(OpenSolaris)
【公式サイト】
Created Date: 07/11/23
Modified Date: 11/08/21
Modified Date: 11/08/21

↑「Oracle VM VirtualBox 4.0」における「Oracle VM VirtualBox Manager」(クリックで拡大)
【解説】
米Oracleより開発、提供等が行われているマルチプラットフォーム対応のオープンソース仮想化ソフトウェア(Type 2 ハイパーバイザ)。カーネルモード(特権モード、スーパバイザモード、マスターモード)における各種命令をハードウェアレベルにてハンドリング可能なCPU仮想化支援「Intel VT-x(Intel Virtualization Technology)」「AMD-V(AMD Virtualization)」をサポートする他、仮想マシンにおいて最大32コア(32way)の「Virtual SMP(Virtual Symmetric Multiprocessing、仮想対称型マルチプロセッシング)」に対応している。また、総じて「Seamless(シームレス)」と称される諸機能の実装等により、ホストOS、ゲストOS間におけるシームレスな連携を実現している他、豊富な仮想アプライアンス(Oracle Tech Network)や各種Oracleラインアップとの互換性等、仮想化ソリューションにおける有力ベンダならではの種々のメリットも特徴の一つとして挙げられる。
当初は、米Connectixと共同でOS/2版「Virtual PC」の開発等も手掛けていた独InnoTek GmbHにより、各種オープンソーステクノロジ(「QEMU」「Qt」「COM/XPCOM API」等。動的なリコンパイラに「QEMU」の成果物を採用)をベースとした開発が行われ、2007年1月中旬にWindows、Linuxを対象としたVer.1.3.2を公開。PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠し、個人利用、評価目的に限り無償にて利用可能とした。その後、2008年上半期に実施された米Sun Microsystemsによる買収に伴い「Sun xVM」ラインアップの一部としてリブランドされ、Ver.2.0リリース時には、エンタープライズ対応の強化等を主目的としたサポートサブスクリプション「Sun xVM VirtualBox Software Enterprise Subscription」の提供等も発表された。その後、同ラインアップの解消により、米国時間2009年4月8日付にてリリースされたVer.2.2より「Sun VirtualBox」へと名称変更が行われた後、2009〜2010年上半期に実施された米OracleによるSunの買収に伴い「Oracle VM」ラインアップの一部として再びリブランドされている。
尚、Ver.3.2までは、クローズドソース版としてMac OS X、Windows、Linux、Solaris(OpenSolaris)版が、オープンソース版としてGPLv2(GNU General Public License Version 2)に準拠した「VirtualBox Open Source Edition」が各々提供され、オープンソース版では開発環境一式、及び依存する外部ライブラリ(「SDL(Simple DirectMedia Layer)」等)等を用いる事によるセルフコンパイルが必要とされていた。その後、米国時間2010年12月22日付にてリリースされたVer.4.0より、オープンソース版において各プラットフォームを対象としたバイナリパッケージが提供され、USB 2.0ホストコントローラ、VRDP(VirtualBox Remote Desktop Protocol)サーバ、及びPXEブートローダ(「Intel e1000」をサポート)等の機能は、PUELに準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)として別途に提供される事となる。
機能面においては、サスペンドや共有フォルダ、及び任意の状態に保存された仮想マシンを任意のタイミングにて復元可能なスナップショット(複数世代のノードを作成可能なマルチスナップショットとして実装され、「Snapshot Manager(スナップショットマネージャ)」を用いたマネジメントに対応)等を実装している他、エクステンションパックを通じて提供されているVRDP機能を追加する事により、ゲストOSに対するリモートデスクトップクライアントからのリモート接続にも対応(Remote Display、リモートディスプレイ)。同機能を利用する事により、標準ではリモートデスクトップにおける接続先として利用する事のできない「Windows XP Home Edition」等に対するリモートアクセスも可能となる。また、コミュニティからの貢献等により、日本語含む複数言語に対応したローカライズ、及び日本語キーボードサポート等も行われている。
その他、ゲストOS拡張機能として「Guest Additions」と称されるドライバソフトウェアが提供されており、同ソフトウェアをインストールする事によって、ゲストOSに各種の機能拡張等が齎される事となる(共有フォルダ(継続利用可能な永続的な共有フォルダ、及び仮想マシン終了時に設定がクリアされる一時的な共有フォルダの2種類が利用可能)、シームレスなカーソル移動を実現するマウス統合、仮想グラフィックスカードに対応したグラフィックスドライバ、タイムシンクロナイズ、及びホストOSにおけるウインドウであるかの如くに、ゲストOSにおけるそれらをハンドリング可能とする「Seamless」モード等)。尚、Ver.1.5(Windows/Linux版、独国時間2007年9月3日リリース)において初実装された「Seamless」モード(「Parallels Desktop for Mac」における「Coherence(コヒーレンス)」モード相当機能)は、当該時点においてMac OS Xベースの仮想化ソフトウェア以外では初の実装となった。
Sun xVM VirtualBox 1.6(1.6~1.6.6)
「Sun xVM」ブランドとしてのイニシャルリリースとして米国時間2008年5月2日付にてリリースされたアップデート相当の当バージョンより、Mac OS X、及びSolaris版が正式版としてリリースされる事となる。当バージョンは種々のメンテナンス等を中心としてVer.1.6.6までリリースされる事となる(「Sun xVM VirtualBox 1.6.6」は、米国時間2008年9月2日付にてリリース)。また、この間の米国時間2008年5月29日には、プレスリリースを通じて、初版リリース以来約18ヶ月にてダウンロード件数が500万件を突破した旨等がアナウンスされている。
Sun xVM VirtualBox 2.0(2.0~2.0.12)
米国時間2008年9月4日付にてリリースされたアップグレード相当の当バージョンでは、Mac OS X版においてネイティブユーザインターフェイスが採用され、ルックアンドフィールのみならず、メニューの表記やボタンの配置等、Mac OS Xにおけるインターフェイスポリシを遵守した形での改善が多数包含された他、64bitホストOS利用時における64bitゲストOS(x64)のサポート、Mac OS X版、及びSolaris版における「Host Interface(ホストインターフェイス)」ネットワーキングのサポート、AMDプロセッサにおける「NP(Nested Paging、ネステッドページング)」のサポート(パフォーマンス向上)、及びMicrosoft仮想ディスク(vhd)のサポートが行われる事となる。また、その他の主な特徴として以下の項目等が示されている(主要項目抜粋)。- GUIツールキットを「Qt3」から「Qt4」に変更
- 新たな版が利用可能となった時に、その旨を通知すべくしたアップデート通知を追加
- Rawディスク/パーティションアクセス時に、Serial ATA Asynchronous I/O(NCQ(Native Command Queuing))が利用可能に
- OS/2(ゲストOS)を対象として、クリップボードを統合
- 「Jumbo Frame(ジャンボフレーム)」に対するサポートを追加(>1536 bytes)
- Mac OS X版において、「ctrl」+左クリックがゲストOSにおいて右クリックをエミュレートしなくなるべくした変更を適用(ホストキー+左クリックにて右クリックをエミュレート)